太陽光発電は今後どうなる?2040年に向けた政策と市場の動向を解説
太陽光発電は、これからどうなっていくのでしょうか。国は2025年2月に第7次エネルギー基本計画を閣議決定し、2040年度の電源構成で太陽光発電を23〜29%程度とする見通しを示しました。2026年は、政策の重点が大規模な地上設置から住宅の屋根や自家消費へと移り、東京都では新築住宅への設置義務化も始まっています。
本記事では、国と自治体の政策、買取制度、市場の動きを整理しながら、戸建て住宅のオーナーにとって太陽光発電の今後がどう変わるのかを見ていきましょう。
この記事でわかること
- 国は2040年度に電源構成の23〜29%程度を太陽光でまかなう見通しを示している
- 政策の重点は地上設置から屋根設置・自家消費へ移り、地上設置は2027年度以降に支援が縮小される方針
- 東京都では2025年4月から、新築住宅の供給事業者に太陽光などの設置が実質義務化されている
- 蓄電池・EVとの組み合わせや、発電した電気を「いつ使うか」が重視される方向へ
- ペロブスカイトなどの次世代技術は、2030年以降の量産・普及を目指す段階にある
この記事の監修者
平間一也(株式会社ECODA 代表取締役)
住宅リフォーム・不動産・建築の営業を経て、2022年に株式会社ECODAを設立しました。太陽光発電・蓄電池について本人が語るのは、次の考え方です。「十分な判断材料があれば、自分で比較し、納得したうえで選ぶことができます。しかし、情報がなければ、何を基準に選べばいいのかさえ分かりません」
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国の方針は拡大方向 — 2040年に向けた電源構成の見通し
まず、国全体の中で太陽光発電がどのように位置づけられているのかを確認しておきましょう。国の長期方針では、太陽光発電は今後もっとも拡大が期待される電源のひとつになっています。

2040年度に電源構成の23〜29%程度を目指す
政府は2025年2月18日、第7次エネルギー基本計画を閣議決定しました。この計画では、2040年度の電源構成について、再生可能エネルギー全体で40〜50%程度、そのうち太陽光発電で23〜29%程度とする見通しが示されています。2023年度の実績では太陽光発電は9.8%でしたので、今後15年ほどで2倍以上の規模を目指す方針といえるでしょう。
| 電源 | 2023年度の実績 | 2040年度の見通し |
|---|---|---|
| 再生可能エネルギー全体 | 22.9% | 40〜50%程度 |
| うち太陽光発電 | 9.8% | 23〜29%程度 |
| 原子力 | 8.5% | 20%程度 |
| 火力 | 68.6% | 30〜40%程度 |
導入量は76.6GWに達し、住宅用も約1,283万kWに
実際の導入も着実に進んでいます。資源エネルギー庁によると、太陽光発電の導入量は2025年3月末時点で76.6GWに達し、FIT制度開始後に運転を開始した設備だけで2025年12月末時点で約7,238万kW、このうち住宅用は約1,283万kWとなりました。
拡大が続く一方で、導入のペースは鈍化している
一方で、足元の導入ペースは鈍化しています。2025年度に運転を開始した設備は、住宅用で約79.2万kW、非住宅用で約72.3万kWとなりました。地面に設置できる適地が減っており、今後の主戦場は住宅や工場の屋根へ移ると見られるでしょう。需要地に近い場所で発電する「需給近接型」は、送電網への負担が小さく、政策的にも重視されています。
政策の重点は「屋根の上」へ — 2026年度の支援制度の変化
太陽光発電の今後を考えるうえで、見逃せないのが支援制度の方向転換です。国は「どこに設置するか」を重視するようになり、2026年度の制度にもその方針が表れています。

住宅用は「初期投資支援」の仕組みに変わりました
住宅用太陽光発電(10kW未満)の買取制度は、2025年度の下期から「初期投資支援スキーム」に変わりました。これは、運転開始から4年目までは1kWhあたり24円、5年目から10年目までは8.3円とする仕組みです。従来のように10年間同じ価格で買い取る方式ではありません。導入初期の回収を早める設計になっており、2026年度も同じ枠組みが適用されています。
| 区分 | 2026年度の買取水準 |
|---|---|
| 住宅用(10kW未満) | 24円/kWh(1〜4年目)+8.3円/kWh(5〜10年目) |
| 事業用・屋根設置(10kW以上) | 19円/kWh(1〜5年目)+8.3円/kWh(6〜20年目) |
| 事業用・地上設置 | 9.6〜9.9円/kWh |
地上設置は2027年度以降、支援が縮小される方針
資源エネルギー庁は、地上設置型の事業用太陽光について、2027年度以降はFIT・FIP制度の新規認定対象から原則として外す方針を示しています。今後は屋根設置、駐車場、営農地、水面などの活用が重視される見込みです。
自家消費型の太陽光は5年間で約4GWに
発電した電気を自分の施設や住宅で使う「自家消費型」の太陽光は、2020年度から2025年度までの累積で約4.0GWに達したと推計されています(環境省)。2026年度の国の支援でも、自家消費型の太陽光と蓄電池を組み合わせた導入が重点になっています。
新築住宅では「設置が標準」に — 東京都の義務化が示す流れ
住宅分野で大きな転機となったのが、東京都の制度です。2025年4月から始まった取り組みは、今後の新築住宅のあり方を示す先行例といえます。
2025年4月から始まった「建築物環境報告書制度」
東京都は2025年4月1日から、建築物環境報告書制度を開始しました。対象は、都内で年間2万平方メートル以上の中小規模建築物を供給する事業者。求められる取り組みは次のとおりです。
- 断熱・省エネ性能の基準を満たすこと
- 太陽光発電設備などを設置すること
- 電気自動車の充電設備などを設置すること
- 購入者への環境性能の説明と、東京都への報告書の提出
対象になるのは、原則として延床面積2,000平方メートル未満の新築建築物で、戸建住宅や集合住宅などが含まれており、事業者は供給する建物全体で基準を満たしていることを東京都に報告します。
義務を負うのは住宅会社であり、住宅オーナーではない
この制度で注意したいのは、義務を負うのが個々の住宅オーナーではなく、住宅を供給するハウスメーカーなどの事業者である点です。対象は新築の戸建住宅や集合住宅で、すでに建っている住宅に設置義務がかかるわけではありません。
東京都が2025年8月に実施した確認では、対象となるすべての事業者が基準適合に向けて取り組んでいると報告されています。注文戸建住宅では基準を大幅に上回る事例が多く、建売住宅では初期費用ゼロのリースを活用してほぼすべての住宅への搭載を目指す事業者が多数とされています。
既築住宅への広がりが今後の焦点
今後の論点は、すでに建っている住宅への普及です。太陽光発電協会は2026年7月、既築住宅への導入拡大を柱とする政策提言を公表しました。リフォームや給湯器の交換などのタイミングで太陽光・蓄電池を組み込む流れが、今後は強まっていくでしょう。
蓄電池とセットで「いつ使うか」を重視する時代へ
今後の太陽光発電を語るうえで欠かせないのが、蓄電池の存在です。発電した電気をためて使う時間をずらすことで、太陽光の価値を高められるようになってきました。

国の蓄電池政策も大きく動いています
経済産業省は2026年6月、従来の「蓄電池産業戦略」を「蓄電池・電源産業戦略」へ改訂しました。データセンターや防災などで求められる電力制御まで含めて蓄電池と電源を一体で考える方針に変わり、系統用蓄電池を電力市場に参加させるための制度整備も進められています。
出力制御という課題が、蓄電池の価値を高める
太陽光発電が増えると、晴天の昼間に電気が余り、発電を抑制する「出力制御」が行われます。2026年4月から6月にかけては関西エリアで出力制御が実施・検証されており、こうした環境では昼間の電気を蓄電池にためて夕方以降に使う力が発電量そのものと同じくらい重要になります。
住宅でも「太陽光+蓄電池+EV」が標準の組み合わせに
住宅分野でも、組み合わせが前提になりつつあります。蓄電池、V2H(電気自動車から家庭へ給電する機器)、HEMS(家庭のエネルギー管理システム)をセットで提案する動きが広がっており、たとえば次のような使い方が現実的になってきました。
- 昼間の余剰電力を蓄電池にためて、夜間の電力として使う
- 固定価格買取期間が終わった後も、自家消費で電気代を抑える
- 停電時に蓄電池とEVの電気で、冷蔵庫やエアコンを動かす
固定価格買取期間の終了を迎える世帯にとっては、売電先を探すよりも、自分の家で使い切る設計のほうが家計への効果を実感しやすいでしょう。
次世代技術ペロブスカイトは、家庭にいつ届くのか
太陽光発電の「次の形」として注目されているのが、ペロブスカイト太陽電池です。今後の実用化の見通しを確認しておきましょう。
2040年に約20GWの導入を目指す国家戦略がある
政府は2024年11月に次世代型太陽電池戦略を策定し、2030年までにGW級の生産体制を構築し、2040年には約20GWを導入する目標を示しました。従来のパネルより軽く、折り曲げられることが特徴で、耐荷重の小さい屋根やビルの壁面など、これまで設置が難しかった場所への活用が期待されています。
家庭への本格普及はこれからの段階
ただし、2026年時点のペロブスカイトは、実証と量産準備の段階にあります。耐久性の長期データや量産コスト、施工方法の確立が課題として残っており、まずは公共施設や業務用の建物から導入が進む見込みです。
そのため、今まさに設置を検討している場合は、現行のシリコン型パネルを前提に検討するのが現実的でしょう。次世代技術の登場を待つよりも、今の制度と製品で効果を出すほうが、電気代の上昇が続く状況では有利になりやすいと考えられます。なお、ペロブスカイトにも補助金の検討が進んでおり、普及期には選択肢のひとつになると見られます。
よくある質問
Q. 太陽光発電の普及はこれからも続きますか
A. 国の長期方針では拡大が見込まれており、2040年度の電源構成では23〜29%程度が想定されています。ただし、今後の主役は大規模な地上設置ではなく、住宅や工場の屋根、自家消費型へ移る方向です。
Q. 住宅用の補助金や買取制度は今後も続きますか
A. 2026年度は屋根設置を支援する枠組みが維持されており、住宅用は導入初期の買取価格を高くして回収を早める仕組みになっています。制度は毎年度見直されるため、検討時には最新情報の確認が必要です。
Q. 地上設置の太陽光発電はこれからどうなりますか
A. 政府は2027年度以降、地上設置型をFIT・FIP制度の新規認定対象から原則として外す方針を示しています。事業用の新規案件は、屋根設置や自家消費型へ軸足が移っていく見通しです。
Q. ペロブスカイトが普及するまで待ったほうがよいですか
A. ペロブスカイトは2030年以降の量産・普及を目指す段階で、家庭への本格導入はこれからです。電気代の上昇が続く中では、現行のシリコン型で検討を進めるほうが現実的といえるでしょう。
Q. 東京都の義務化で、すでに建っている住宅にも設置義務がかかりますか
A. 義務の対象は新築住宅を供給する事業者であり、既存住宅のオーナーではありません。既築住宅への設置は任意ですが、東京都や区市町村の助成制度などの後押しが続いています。
ECODAでは、2026年度の制度や補助金をふまえて、ご家庭に合った太陽光発電・蓄電池の構成と、導入効果のシミュレーションを無料でサポートしています。押し売りはしません。相見積もりを歓迎しています。今後の制度を見据えて検討を始めたいという方は、専任スタッフにお気軽にご相談(無料)ください。
まとめ
太陽光発電の今後は、国の長期方針が示すとおり拡大が続く見通しです。その一方で、主役は地上設置から屋根設置・自家消費へと移り、蓄電池やEVとの組み合わせが前提になりつつあります。
東京都の義務化は、新築住宅で太陽光が標準になる流れを象徴する出来事といえるでしょう。既築住宅への設置は、今後さらに後押しが広がっていくと考えられます。制度の変化を味方につけながら、無理のない範囲で検討を進めてください。
この記事のまとめ
- ✓国は2040年度に電源構成の23〜29%程度を太陽光でまかなう見通しを示している
- ✓政策の重点は地上設置から屋根設置・自家消費へ移っている
- ✓東京都では新築住宅の供給事業者に、太陽光などの設置が実質義務化された
- ✓蓄電池・EVとの組み合わせで、電気を「いつ使うか」が重視される方向へ
- ✓次世代技術の本格普及はこれからなので、今は現行製品での検討が現実的


